2009 Fiscal Year Annual Research Report
β型Ti合金のβ′相およびTi-Alのウィドマンシュテッテン組織形成機構の解明
Project/Area Number |
21760559
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
阪本 辰顕 Ehime University, 理工学研究科, 助教 (80403848)
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Keywords | β型チタン合金 / チタン-アルミニウム合金 / 二相分離 / ウィドマンシュテッテン組織 / 表面起伏 |
Research Abstract |
Ti-6.8Mo-4.5Fe-1.5Alに関して、300℃での1段目の時効時間が500℃での2段目の時効によるβ'相生成に及ぼす影響を調べた。1段目の時効時間が長くなるにつれω相の数密度が増加し、2段目の時効中に生成するβ'相の数密度が高くなった。以上のことからβ'相の生成原因を次のように考えた。1段目の時効中にβ相から溶質原子濃度の低いω相が析出し、β母相にβ安定化元素が濃化する。その後2段目の時効中にω→β逆変態によりβ相中にβ安定化元素の濃度揺らぎが一時的に生じると考えられる。溶質原子濃度が均一になる方向に拡散が生じ、自由エネルギー-組成曲線における2相分離領域の組成を有するβ相が形成され、β+β'相に分離すると考えられる。ω相の数密度が高くなると2相分離傾向のβ相の形成個所が増加すると考えられ、β'相の数密度が増加すると考えられる。1段目の時効によるβの組成変化が2段目時効におけるβ'相の生成に影響することがわかり、本合金の熱処理に一指針を与える結果が得られた。 Ti-48.5at%Alに関して、ウィドマンシュテッテン(W)組織の晶癖面が(1011)_αであること、また方位関係が(111)_γ//(1101)_α,[110]_γ//[1101]_αであることが分かった。α-Tiとγの格子定数の温度依存性からα-Tiとγとの晶癖面を挟む原子位置の一致を計算したが、W組織においてよい一致が得られなかった。これはα-Tiとγが互いに拘束しながら熱膨張することの影響を考慮しなければならないことを示唆している。また表面起伏を測定した結果、L組織よりW組織の起伏の方が低かった。TEM観察の結果、W組織のα_2相の幅はL組織より小さいことから、L組織と同じ機構で起伏が生じるが高さが低いと考えられる。W組織がL組織と同じ機構で生じることを示唆する結果が得られ、組織形成機構解明につながる結果が得られた。
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