2009 Fiscal Year Annual Research Report
新製法Nb3Sn超伝導線材の塑性加工技術の確立と特性改善機構の解明
Project/Area Number |
21760566
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
菊池 章弘 National Institute for Materials Science, 超伝導材料センター, 主幹研究員 (50343877)
|
Keywords | 超伝導線材 / Nb3Sn / Ti2Sn3化合物 / ブロンズ法 / 微粉末化 / 自己燃焼反応 / 伸線加工 / ハイブリッドブロンズ法 |
Research Abstract |
本研究では、ブロンズ法、内部Sn拡散法及び粉末法の3種の利点を融合した「ハイブリッドブロンズ法」によるNb3Sn線材の基盤技術を開発する。まず、この新製法において独創的原料のTi2Sn3化合物の合成条件の最適化について検討した。Ti2Sn3の合成は純Ti及びSnの粉末を混合し拡散反応により行う。DTA分析により、230℃程度でSnの融点である吸熱反応が現れ、その後に530℃から強い発熱反応が生じることが判明した。一方、真空の透明石英管中にTiSn混合圧粉体を設置し、外部から電熱線加熱して圧粉体を観察したところ、530℃あたりから発光し且つ発光部が圧粉体全体に伝播する現象がみられた。所謂、自己燃焼反応である。この圧粉体を粉砕してXRD分析を行ったところ、Ti2Sn3相とともに高融点のTi6Sn5相の生成が認められた。Ti6Sn5は硬く粉砕が困難である。発熱反応が生じない500℃の熱処理でTi2Sn3化合物の単相を得ることに成功した。Ti2Sn3は脆くジェットミルによりサブミクロン粒子に微細化することが容易であった。この微粉末をブロンズ管(Cu16wt%Sn)に充填して冷間伸線加工を行うが、ブロンズが加工硬化するために中間焼鈍が必要となる。一般的にブロンズ法線材の製造メーカー各社では、中間焼鈍を500℃前後で行っている,ところが、500℃ではTi2Sn3とブロンズが反応し、界面に冷間加工性を阻害するε層が形成されることが判明した。Ti2Sn3とブロンズの界面反応を調査し、480℃以下であれば著しい反応がないことを明らかにした。この最適中間焼鈍条件の下、228芯の純NbをフィラメントとしてTi2Sn3モジュールを配置した極細多芯線構造の線材を静水圧押出しを適用して試作し、冷間伸線加工時に断線や断面の異常変形もなく実用に発展し得る優れた冷間複合加工性を確認した。
|
Research Products
(1 results)