2009 Fiscal Year Annual Research Report
チタン合金の高サイクル疲労特性に及ぼす双晶変形の影響
Project/Area Number |
21760567
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
小野 嘉則 National Institute for Materials Science, 材料信頼性センター, 主任研究員 (90354240)
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Keywords | チタン合金 / 高サイクル疲労 / 破壞 / 双晶変形 / 応力比 / 極低温 |
Research Abstract |
本研究の目的は、低温用αチタン合金の疲労強度設計の最適化とその妥当性を検証するための余寿命評価法について検討することにある。研究代表者らは、これまでにTi-5%Al-2.5%SnELI(以下Ti525)合金鍛造材の引張特性と高サイクル疲労特性(応力比R=0.01)の室湖下での温度依存性を調査し、低温では静的強度(02%耐力、引張強度)は高くなるにもかかわらず、高サイクル疲労弓強度は低くなることを明らかにしている。疲労破壊起点部の方位解析や組織観察により、低温での高サイクル疲労強度の低下は双晶変形に起因していることが示唆された。 本年度は、疲労強度設計の最適化を目的として、低温で特異な高サイクル疲労強度の温度依存性を示すTi525合金について応力比の影響を調査した。高サイクル疲労試験は、室温と77Kで10^7回まで行った。その結果、各応力比での10^7回強度は、室温より77Kの方が低かった。破面および組織観察の結果より、77Kでは、全試験条件で静的強度の上昇に見合う高サイクル疲労強度が得られず、双晶変形に起因して疲労強度が低くなっていると推察される。また、得られた結果をもとに、疲労限度線図での評価を行った。室温では、10^7回強度は修正グッドマン線上にほぼ位置しており、いずれの応力比も修正グッドマン則で予測可能であることがわかった。一方、77Kでの修正グッドマン則による予測は、R=0.8付近の高応力比では安全側になるものの、R=0.01と0.5では危険側になることが明らかになった。この原因については、温度の影響と塑性変形機構の影響め観点から現在検討中である。 また、上記研究と並行して、供試材の低温での主たる疲労損傷である変形双晶の形成からき裂発生過程と寿命(サイクル数)の対応を把握するために、途中で試験を止めた試験片をもとに組織観察を進めている。
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