2009 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム代替触媒を用いた調光ミラーの開発と光学スイッチング特性評価
Project/Area Number |
21760570
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田嶌 一樹 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, サステナブルマテリアル研究部門, 研究員 (50443198)
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Keywords | 機能性薄膜 / スパッタリング / プロトン / 触媒 / 光学特性 / スイッチング / 調光 |
Research Abstract |
本研究は新規窓材として憂れた省エネルギー効果を期待できる調光ミラーガラスの技術開発に関して実施した。当該ガラスはマグネシウム系合金薄膜を用いた調光ミラー層中に水素イオンを出し入れすることにより、金属(鏡)状態⇔半導体(透明)状態の変化が生じる。この鏡⇔透明の変化(スイッチング)を利用した窓材用途においては、スイッチングにより太陽光の透過量を任意に制御することができ、特に夏季においては室内への日射からの熱の流入を抑えることができるために冷房負荷軽減が期待できる。しかしながら、現状構造では触媒層としてパラジウム薄膜(厚さ4nm)を用いており、実用化および普及のためには高価で資源として乏しいパラジウムを削減・使用しない技術開発が必要である。そこで本年度は調光ミラーガラス用パラジウム触媒の使用量削減に主眼を置き、作製方法としては直流マグネトロンスパッタ法を用い材料、組成、成膜条件の探索を行った。まず、触媒層と調光特性の関連性について調査しパラジウム薄膜の厚さが1nm程度でも駆動する条件を見出したが、その耐久性(繰り返し回数)は低かった。そこで単純に膜厚の削減による使用量削減ではなく、第二元素添加による使用量削減に着目した。パラジウム触媒に銀を添加することで、その使用量を抑えた当該ガラスを作製した。触媒層膜厚は4nmに固定した。様々な成膜条件ならびに諸特性の検討結果から、銀添加によりパラジウムの使用量の削減を行っても同程度の繰り返し耐久性を有し、かつ、パラジウムのみを用いた当該ガラスよりも速いスイッチング速度を有する触媒層の成膜条件を見出した。これら結果の一部を第19回日本MRS学術シンポジウムにおける招待講演にて発表を行った。
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