2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760572
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
酒井 大輔 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 光技術研究部門, 産総研特別研究員 (10534232)
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Keywords | ガラス / コロナ帯電 / 回折構造 / 屈折率変調 / アゾベンゼンポリマー / ポリスチレン微粒子 / 自己組織化 |
Research Abstract |
ガラス内部の屈折率変化に関して考察を行うため、まず、屈折率変化量の測定をアッベ屈折計により行った。その結果、誘起されている屈折率変化量は10^<-4>以下と見積もられた。これは、初期値に比較して0.007%以下の変調度であり、非常に微弱な変化であることが判明した。当初計画ではSIMSによる組成分析を予定していたが、この条件下ではSIMSの感度とシグナル/ノイズ比が十分とは言えず、有意なデータを取得することが困難であると判断された。そこで、当該分析は当面順延し、表面領域の屈折率変調度の向上に注力することとした。 ガラスの材質に着目した比較実験を行った結果、アルカリ金属イオンの含有濃度と誘起屈折率変化量の間に正の相関関係が認められた。そこで、続く実験では、ガラス基板を異なるpH溶液に浸漬する方法で表面近傍のイオン濃度制御を試みた。現時点ではまだ10^<-4>以上の屈折率変化が達成されていないが、引き続きガラス材料の検討とプロセス条件の見直しなどを進め、次年度には10^<-4>以上の屈折率変化の達成を日指す。 屈折率分布の誘起プロセスの最適化に関しては、コロナ帯電の再現性や安定性向上のための装置改良と条件出しを行い、光散乱ノイズを低減した回折構造の転写に成功した。さらに、得られた知見を元に、従前使用して来たアゾベンゼンポリマーだけではなく、ポリスチレン微粒子の自己組織化単層膜などもテンプレートとして有効であることを実証した。この実験事実は、テンプレート材料の汎用化や現象の応用にあたって非常に意義深い。これらの成果は、1件の国際会議発表(招待講演)と1報の論文発表(OPTICAL REVIEW)として発信した。 さらに、転写構造の熱消去、あるいは、加熱とコロナ帯電処理の組み合わせによる消去などの実験を行い、現象のメカニズム解明に資する知見を得た。この結果は2件の学会発表(応用物理学会)として成果発信した。
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Research Products
(4 results)