Research Abstract |
フェムトパルスレーザー光を回折限界まで集光することで極めて強いレーザー場を生成することができる.研究代表者は,これまでこの非平衡な超高強度光反応場を金属イオンを含む水溶液体中に発生させ,発生するラジカルによる還元反応を介して,単分散のシングルナノ微粒子が生成できることを実証した.本研究では,実験対象を混合水溶液へ拡張し,合金ナノ微粒子,ならびに酸化物と金属から成る新しいハイブリッドナノ微粒子の創成を目的とし研究を行った.まず,研究過程において同手法を用いて金ナノ粒子だけでなく白金(T.Nakamura,K.Takasaki,and S.Sato,J.Appl.Surf.Sci.,225(2009)9630-9633)ならびに銀超微粒子の作製に成功した.さらに,二種類の金属イオンを所定の割合で混合した混合水溶液をへのレーザー照射により,組成を制御した金-銀合金ならびに金-白金合金超微粒子の作製も容易に可能であることを明らかにしている.この結果は,複数種の金属イオンを含む水溶液への高強度レーザー照射により,様々な化学物質や複雑なプロセスを経ることなく容易に組成が制御された合金ナノ粒子の作製が可能であることを示唆しており,今後その研究範囲を三元系をはじめとした多元系合金ナノ粒子の作製に拡張する予定である.一方,酸化物・金属ハイブリッドナノ粒子の作製については,同手法を用いた酸化物ナノ粒子の作製に関する研究過程において,「卑」な金属イオンが安定に存在する水溶液が必要であることが分かった.通常の金属塩水溶液ではなく,有機分子などにより水溶液中で安定化した金属イオン水溶液へのレーザー照射により酸化物ナノ粒子の作製が可能であることが分かっており,引き続き研究を進めている.
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