2009 Fiscal Year Annual Research Report
光学的全視野ひずみ計測法を利用した超微細粒材料における"くびれ進展挙動"の解析
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21760586
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺田 大将 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (80432524)
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Keywords | アルミニウム / 延性 / くびれ変形 / 光学的全視野ひずみ測定 / 画像相関法 / 超微細粒材料 |
Research Abstract |
引張試験中の試験片について、局所ひずみを平行部の全領域で測定可能な光学的全視野ひずみ測定システムを構築した。本測定システムは、引張試験中の試験片平行部を連続的に記録できるよう引張試験機にCCDカメラを取り付けた測定装置の構築と、CCDカメラにより記録した任意の2枚の画像の比較を定量的に行い、画像の中の任意の位置がどのように移動したのか求めることができるデジタル画像相関法の解析プログラムを作成することにより構成した。 上記の測定システムを用いて、通常粒径材料と超微細粒材料のくびれ変形部の局所ひずみの比較を行った。通常粒径材料として、平均結晶粒径18・mを有する工業用純Al(A1100)を用いた。この通常粒径材料を出発材として、巨大ひずみ加工プロセスの一つであるARB法により平均粒界間隔240nmの超微細粒材料を作製した。これら二種類の試料を引張試験に供し、同時に上記の光学的全視野ひずみ測定システムによる局所ひずみの測定を行った。本実験では平行部長さ10mm、幅5mmの引張試験片を用い、平行部に0.1mm間隔の格子点を設定し、各格子点における局所ひずみを測定した。その結果、応力ひずみ曲線で試験開始から引張強さを示すまで、両試料の平行部において、今回の測定スケールでは、局所ひずみ量と標点間のひずみ量(マクロなひずみ量)が一致し、均一に変形していた。両試料ともに引張強さを示したのち、くびれが発生した。くびれが開始したひずみを基準として、さらに標点間が2.5%変形したときのくびれ部の局所ひずみ量を調べた。その結果、粗大粒材料では、くびれ部での最大局所ひずみ量が39%とマクロなひずみ量よりも非常に大きい一方で、超微細粒材料では、最大局所ひずみ量が6.5%と小さいことが分かった。この結果は、くびれ部での変形の集中が結晶粒径に影響されることを意味する結果である。今後はさらに組織と変形集中の関係について詳細を検討する。
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