2010 Fiscal Year Annual Research Report
光学的全視野ひずみ計測法を利用した超微細粒材料における"くびれ進展挙動"の解析
Project/Area Number |
21760586
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺田 大将 京都大学, 工学研究科, 助教 (80432524)
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Keywords | 力学特性 / くびれ進展挙動 / 光学的全視野ひずみ測定法 / 画像相関法 / アルミニウム / 超微細粒組織 |
Research Abstract |
近年、平均結晶粒径1μm以下の超微細粒材が、粗大結晶粒材料と比較し、3倍以上の強度を示すことが明らかとなっている。一方で、超微細粒材料の引張破断延性は10%以下と小さい。そのため超微細粒材料の実用化のために、その延性改善が急務となっている。破断延性は、変形中にくびれがどのように発生し、進展するかに依存すると考えられるがその詳細は不明である。そこで、本研究では、引張試験中に発生するくびれの進展挙動が結晶粒径の変化に伴いどのように変化するのか調べた。くびれ変形挙動を解析するためには、引張試験片の局所的なひずみを定量的に評価する必要がある。そこで、まず、引張試験中の局所的な変形挙動を測定可能な光学的全視野ひずみ測定システムを構築した。このシステムにより引張試験片上で、11μm間隔での局所ひずみの分布を調べることが可能となった。 次に、工業用純アルミニウムに巨大ひずみ加工のひとつであるARB法を施し、その後、焼鈍を施すことで、平均結晶粒径が、0.24μm(巨大ひずみ加工まま)、1.7μm、4.0μm、および18μmの3種類の試料を作製した。0.24μm材はひずみ2%で最大応力に達し、急激な応力低下の後、ひずみ9%で破断した。一方、平均粒径が1.7μm以上の材料は、降伏後に加工硬化を示し30%以上の破断伸びを示した。 種々の材料について、引張試験時の最大応力時にくびれが発生してからのくびれ進展挙動を調べたところ、粒径が1.7μm以上の材料では最大応力直後は、試験片平行部全体が変形しており、変形が進むにつれ徐々にひずみが集中し、最終的に幅2mmの領域に引張ひずみに対して約2倍の局所ひずみが集中していた。一方、0.24μm材は、最大引張応力を示した直後に、1mm幅の領域に引張ひずみの3倍の局所ひずみを示し、粒径が1.7μm以上の材料よりもひずみの局在化が顕著であった。このような最大応力直後の局所ひずみ分布の様相の違いが破断延性に影響しているものと考えられる。
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