2009 Fiscal Year Annual Research Report
超低電位プラズマを用いた高機能な有機系材料表面の創製と評価
Project/Area Number |
21760587
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹中 弘祐 Osaka University, 接合科学研究所, 助教 (60432423)
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Keywords | 有機系材料 / 超低電位プラズマ / 有機 / プラズマ反応機構 / 機能性材料 / 表面処理 |
Research Abstract |
本研究は、有機系材料の高性能化・高機能化技術、また革新的な有機系材料創製技術を実現に向けた、有機系材料の表面改質・加工プロセスにブレースルーをもたらす技術開発を念頭に、超低電位プラズマ源を用いたイオン・ラジカル制御による有機系材料表面の改質と、その有機系材料表面の物理的・化学的特性の解析と機能性の診断を目指して、以下の研究を行った。まず、プラズマプロセスにおけるイオンダメージ(基板最表面に入射するイオンエネルギー)を従来に比べて格段に低減することを念頭に開発された低電圧駆動可能な内部型アンテナを用いた超低電位プラズマ源で生成したプラズマを有機基材上に照射した際の、基材最表面の物理的・化学的特性について調べた。アルゴン酸素混合プラズマを有機系基材に照射後のエッチング深さおよび、表面荒さを調べた結果、100nm/min以上のエッチング速度でありながら、算術平均粗さ(R_a)の変化はわずかであった。これらの結果から、有機系基材表面は速い速度でアッシングされるが、表面荒さは比較的均一にエッチングされていることが明らかとなった。さらに、アルゴン酸素混合プラズマ照射による有機系基材表面の化学結合状態への影響について、硬X線光電子スペクトル計測により調べたところ、基板深部(10~15nm)においては、未照射の有機系基材の分子構造を反映した成分が検出され、分子構造が本来の分子構造を保っていることが確認された。一方、ナノ表面領域では一部が酸素官能基に置換されていることが明らかとなった。これらの結果から、低イオンダメージのプラズマプロセスにより、10~15nmの深部の分子構造への損傷を抑制した状態で、表面ナノ領域のみに酸素官能基の付与が可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)