2010 Fiscal Year Annual Research Report
超低電位プラズマを用いた高機能な有機系材料表面の創製と評価
Project/Area Number |
21760587
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹中 弘祐 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (60432423)
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Keywords | 有機系材料 / 超低電位プラズマ / 有機/プラズマ反応機構 / 機能性材料 / 表面処理 |
Research Abstract |
本研究は、有機系材料の高性能化・高機能化技術、また革新的な有機系材料創製技術を実現に向けた、超低電位プラズマ源を用いたイオン・ラジカル・光を制御することによる有機系材料表面の改質と、その有機系材料表面の物理的・化学的特性の解析と機能性の診断を目指して、以下の研究を行った。まず、超低電位プラズマ源で生成したプラズマから有機基材上に入射する粒子束の中で、特に有機基材への影響が懸念されている光(真空紫外光・紫外光)の有機基材に対する影響を調べるために、プラズマからの紫外光を選択的に照射し基材表面への影響を調べた。アルゴン酸素混合プラズマから照射される紫外(UV)領域、および真空紫外(VUV)領域を含む光を、ポリエチレンテレフタレート(PET)に照射した結果、UV+VUV領域の光を照射すると,最表面から数nmの領域において酸化官能基に置換されていることが明らかとなった。この結果から、エネルギーが高いUV+VUV領域を含む光により、PET分子中の結合を切断され、その未結合手が酸素官能基に置換されていることがわかった。また、プラズマ照射による有機基材の表面形状に対する変化を調べるため、アルゴン酸素混合プラズマのイオン照射量を変化させた際の、PET表面の形状変化を調べた。その結果、表面がエッチング速度100nm/min以上でエッチングされるにも関わらず、算術平均粗さ(R_a)(細かい凹凸の高さ方向の変化)の変化はわずかであった。一方、凹凸の平均間隔(Sm)(大きな凹凸の横方向の変化)は小さくなる傾向、つまり、大きな凹凸が増える傾向が確認された。これらの結果から、有機系基材表面は速い速度でエッチングされ、最表面は比較的均一にエッチングされる一方で、イオン照射量を制御することにより、最表面でのマクロな構造を制御可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)