2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760589
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
上路 林太郎 香川大学, 工学部, 准教授 (80380145)
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Keywords | 構造用金属材料 / 鉄鋼材料 / 双晶変形 / 高速変形 / TWIP鋼 / 結晶粒微細化 / 静動差 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
構造用金属材料では、工業製品の製造等、比較的低速の変形(静的変形)を受ける際の強度は低く、かつ自動車の衝突事故のような高速変形時の強度が高いことが望まれる。高速変形時と静的変形時の強度差は静動差と呼ばれる。一般に、強度と静動差の両立はむずかしいとされている。本研究では、構造用鋼板として近年特に注目を受けているオーステナイト鋼である、高マンガンTWIP (Twinning Induced Plasticity)鋼を例にとり、結晶格子欠陥制御による静動差の向上の可能性を検討した。はじめに、完全再結晶組織を有するサブミクロンを含む種々の平均結晶粒径を有するTWIP鋼の双晶変形の有無と静動差の変化の相関を系統的実験により明らかにした。得られた知見より、部分再結晶組織による静動差向上指針を検討した。結晶粒微細化は、圧延・再結晶により実施された。圧下率95%の室温での圧延と焼鈍により完全再結晶組織と一部に圧延により導入されたラメラ状転位組織が存在する部分再結晶組織をそれぞれ有するTWIP鋼を作成した。得られた試料に対して、検力ブロック式材料試験機を用い、室温において10^<-3>/secから10^3/secまでの各種ひずみ速度での引張試験を行い応力ひずみ曲線を測定した。得られた応力ひずみ曲線より、静動差、活性化体積を評価した。その結果、完全再結晶組織を有する場合、平均粒径1μmまでの平均結晶粒径の減少に伴い強度が上昇する一方で、静動差が減少する。一方で、粒径1μmを有しつつかつ圧延によりラメラ状転位組織を導入した場合、強度と静動差の同時向上を達成できた。変形後の組織を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した結果、変形双晶の有無と静動差の増減が対応していることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)