2010 Fiscal Year Annual Research Report
原料リサイクルシステムを備えた薄膜合成プロセスの構築
Project/Area Number |
21760593
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
内田 寛 上智大学, 理工学部, 准教授 (60327880)
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Keywords | 薄膜プロセス / 超臨界流体 / 有機金属化合物 / 金属酸化物 |
Research Abstract |
研究計画では、無機材料薄膜の合成原料として広く使用される有機金属化合物を研究の対象とし、薄膜合成プロセスにおける未反応原料や副生成物の回収・再生システムの構築を目指す。それらの技術を通じた原料リサイクルシステムの確立は、薄膜合成プロセスの原料利用効率向上へと最終的に大きく貢献するものと判断される。本研究では、原料回収・再生の具体的な技術的指針として、有機化合物抽出・分離の性能に定評のある超臨界二酸化炭素(scCO_2)を利用した化合物回収技術の構築を提案する。 平成22年度の研究において、前年度に試作した回収システムを利用し、薄膜合成装置からの原料回収を念頭に置いた擬似的実験系での化合物抽出実験を実施した。まず前年に引き続き酸化物セラミックスTiO_2薄膜の原料と成り得るいくつかの化合物、すなわち数種類のβ-ジケトン錯体などについて注目し、薄膜作製条件に対応する疑似的な環境下(温度勾配や不純物共存など)での化合物の溶解-析出挙動を評価した。また、回収物中における化学種の状態を分光的分析手法により確認し、化合物の分解状態に関する考察を執り行った。それらの結果、Tiのβ-ジケトン錯体では高温(約60℃~)やH2O共存下などの条件においてβ-ジケトン配位子の遊離を伴った分解反応を生じることが判明した。また、アルコキシド鎖を有する化合物においては従来のゾルゲル反応に相当する変化が認められることから、これらの反応が総じてTiO_2の形成に寄与したことが予想される。同様の分解状態にある化合物を回収システムで回収することに成功したが、その収率は10%未満の非常に低い結果であった。しかしながら系外排出物としての化合物の放出はほとんど認められなかったため、配管・チャンバーなど系内残存物の回収により収率の大幅な増大が期待できる。
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Research Products
(2 results)