Research Abstract |
前年度までにレーザ研削実験装置を製作し,鏡面溝が発生するレーザ走査速度と出力,ガウス半径との関係や,鏡面溝の幅や深さがレーザのエネルギー強度に依存することを明らかにした.さらに,ヤング率や線膨張係数,比熱の温度依存性を考慮することで,ガラス内部に溝の断面形状に対応する圧縮応力場が形成されることが示された. 今年度は,前年度までに行っていないガウス半径における溝加工実験を行い,同様の解析を行った.このとき,数例であるは前年度までのような剥離面が殆ど無く,微小なき裂のみが端面に残る新たな状態が発見された.このことから,レーザのプロファイルを工夫することで,鏡面のみの溝加工ができる可能性があると判断した. 次に,0.7mm厚の薄型ガラスの側面にCO_2レーザを照射,走査し,当現象発生中におけるひずみの状態を観察し,メカニズム解明を目指す実験を行った. まず,ガラス側面にレーザを走査させるための治具を作成し,微小幅の分離片を発生させる実験を行い,その発生領域の把握や分離面の観察を行った.溝加工の場合と違い,ガウス半径よりも小さい幅のガラスに照射していることから,分離面には剥離部分が無く,ほぼ鏡面のみであった.ただし,数例ほど周期的な微小なき裂が生じており,この原因について検証したところ,レーザ出力のリップル成分に一致することが明らかになった. 次に,セナルモン法により歪の状態を観察できるよう光源,1/4波長板,検光子,ビデオマイクロスコープ(20倍~200倍,可変式)を配置した.FEMの解析で得られたものと同様な歪分布が存在することが確認された. このことから,FEM解析で得られた応力分布の確証を得ることができ,本現象のメカニズムは,圧縮応力場が作り出すせん断成分によってき裂を進展させていると考察された.
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