2009 Fiscal Year Annual Research Report
二軸移動磁界攪拌による超微細結晶粒を有するダイカスト用半凝固金属スラリーの製造
Project/Area Number |
21760597
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
嶋崎 真一 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 助教 (00447145)
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Keywords | 金属生産工学 / 電磁攪拌 / 半凝固スラリー / 初晶微細化 |
Research Abstract |
まず、電磁攪拌装置のコイルと電源を数値解析によって設計し、カップ法に対して最適と思われるコイル形状とターン数を決定した。次いで、実際に電磁攪拌装置を作成し、その性能試験を行った。性能試験の結果は数値解析と比較され、おおむね設計通りの性能を有していることが確認された。 次いで鋳造用アルミニウム合金(AC4CH)を用いてスラリー製造試験を行った。カップには6個の熱電対を装着し、溶湯とカップの温度分布が測定できるようにしてある。実験は1)電磁攪拌無し、2)回転攪拌、3)垂直攪拌、4)回転および垂直攪拌の逐次印加の四通りの攪拌条件で行った。 電磁攪拌無しや回転攪拌のみの印加の場合、カップ内の溶湯に大きな温度分布が見られたが、垂直攪拌および逐次印加の場合は、カップ内の温度は均一になっていた。これらの結果より、垂直移動磁界攪拌には溶湯を均一に攪拌する効果が高い一方で、回転攪拌にはそのような効果が見られないことが判明した。 得られた初晶組織の光学顕微鏡観察より、電磁攪拌を印加することによって初晶の形状が樹枝状から球形になり、またサイズも小さくなっていることが明らかにされた。初晶サイズは、逐次攪拌を印加したものが最も小さいことが分かった。 以上の結果を説明するために、簡単な熱伝達モデルを構築し、カップ・溶湯間の熱伝達係数を評価した。熱伝達係数は、「回転および垂直攪拌の逐次印加」>「回転攪拌」=「垂直攪拌」>「電磁攪拌無し」の順で大きくなっており、初晶の大きさは主に溶湯の冷却速度に依存していることが示唆された。
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