2009 Fiscal Year Annual Research Report
重金属防腐剤を含有する廃木材の安全なガス化プロセスの開発
Project/Area Number |
21760598
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 宏行 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (10463895)
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Keywords | CCA / 木材 / バイオマス / ガス化 / クロム / 銅 / ひ素 |
Research Abstract |
地球温暖化の原因物質といわれる二酸化炭素排出削減の一手段として廃木材の利用に着目しているが、廃棄木質系バイオマスのほとんどはクロム・銅・ひ素化合物系(CCA)防腐剤で処理されている。CCA処理廃木材は今後数十年間にわたって大量に排出されることが予想されているが、CCAを含む木材の処理手法、活用手法は確立されていないのが現状である。本研究ではCCA処理廃木材を有効活用するための一手法としてCCA重金属を外部に排出せずにエネルギー源としてガス化できる安全なガス化プロセスの開発を目的とする。 本年度はCCA処理廃木材のガス化に関する基礎検討として、CCA防腐剤の木材中分布状況の調査、およびCCA処理木材の燃焼時のクロム・銅・ひ素の重金属の挙動を調査した。断面が一辺105mmの柱状CCA処理木材を外表面より中心部に向かって断面が等間隔になるように4つに区切り、各部位中の重金属濃度を測定し、最表面にのみ薬剤の含浸が確認された。このことより、CCA処理木材の最表面をはぎ取って、燃焼時の重金属元素の挙動を調査するための木材試料とした。 CCA処理木材の燃焼挙動を873~1673K、酸素分圧0.21~0.40atm、ガス流量200および400ml/minの各条件で測定した。CCA処理木材約3gをアルミナ坩堝に投入して150分間燃焼した。排ガスを硝酸溶液、もしくは水酸化ナトリウム水溶液に通液させ、排ガスに含まれる重金属を補足した。実験後は焼却残渣および排ガス洗浄液中のクロム、銅、ヒ素をICP発光分光分析法により分析した。銅およびクロムの大部分は焼却残渣に残っていたのに対して、ひ素は温度の上昇に従って蒸発量が増加し、10~100%がガス側に揮発することがわかった。CCA処理木材の燃焼やガス化の際には含有される重金属のなかでも特にひ素の挙動に注意する必要がある。
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