2009 Fiscal Year Annual Research Report
ZnSnP_2カルコパイライト相の規則不規則変態と半導体特性との相関の解明
Project/Area Number |
21760599
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野瀬 嘉太郎 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (00375106)
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Keywords | 規則不規則変態 / 状態図 / 結晶成長 / 規則度 / 太陽電池 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画記載の1)Zn-Sn-P三元系状態図におけるZnSnP_2カルコパイライト相の存在領域の調査、および2)フラックスを用いたZnSnP_2結晶の作成および安定性の調査、について研究を遂行した。まず、状態図については500,600,700℃におけるZn-Sn-P三元系等温断面図を作成した結果、ZnSnP_2は化学量論比からZn過剰側に最大で約3mol%の不定比性を持つことがわかった。しかし、この不定比性は比較的小さく、不定比性のみを利用してバンドギャップを自在に制御することは困難であり、他の元素の添加などを考える必要がある。次に、平衡実験の結果および過去の報告をもとに、Sn-ZnSnP_2擬二元系状態図を推定した。高温部分は平衡実験によって調査することは困難であるが、過去の文献からZnSnP_2は不一致溶解を示すことが報告されている。そこで、組成の異なる試料を1000℃から徐冷したところ、87mol%Snの試料についてはZnP_2,ZnSnP_2および液相を含む包晶組織が確認されたが、93mol%Snの試料については液相からZnSnP_2のみが析出した。そこで、包晶反応温度を決定するために、50mol%Snの試料を示差熱分析(DTA)により測定したところ、包晶反応温度はおよそ720℃であった。以上のことから、組成が約90mol%Sn以上の試料を用い、SnをフラックスとしてZnSnP_2を析出させることにより単相の結晶を得ることができると考えられる。そこで、フラックス法によりZnSnP_2結晶の作製を試みた。現在のところ、フラックスであるSn中に1mm程度の結晶が得られている。今後は、結晶成長条件を検討し、結晶を粗大化させていく予定である。
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Research Products
(8 results)