2010 Fiscal Year Annual Research Report
ZnSnP2カルコパイライト相の規則不規則変態と半導体特性との相関の解明
Project/Area Number |
21760599
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野瀬 嘉太郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (00375106)
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Keywords | 太陽電池 / フラックス法 / 規則不規則変態 / カルコパイライト化合物 / バンドギャップ / ホール効果 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画記載の3)規則度の評価方法の確立および規則度の組成・温度依存性の測定、および4)光学的および電気的特性評価、について研究を遂行した。まず、前年度にフラックス法により、1mm程度の大きさのZnSnP_2結晶を得ていたが、温度勾配、成長速度を最適化した結果、直径8mm、厚さ1mm以上の結晶が得られた。この結晶を用いて、分光光度計により反射率を測定し、バンドギャップを評価した。また、ホール効果を測定し、キャリアタイプおよびその濃度、易動度を評価した結果、キャリアタイプはp型、その濃度は10^<16>l/cm^3、易動度は10~20cm^2/Vsecであった。太陽電池として実用化されているCIGSに比べてキャリア濃度が1桁程度低いため、太陽電池に応用するためには、ドーパント添加等が必要であると考えられる。規則度については、その場高温X線回折により、規則不規則変態の有無、および規則度の評価を試みた。その結果、現有の高温チャンバーでは、昇温時の試料の酸化を防ぐことができなかった。そこで、ZnSnP_2とSnの二相試料をいくつかの温度で熱処理したのち、急冷した試料を規則度の評価に用いた。その結果、定量性に問題は有るものの、温度が上がるにつれ、規則度が低下することが示唆された。以上、本研究により、ZnSnP_2の基礎的な物性を評価することができ、太陽電池への応用に向けて、有益な情報を得ることができた。規則度の評価については、本研究において定量的な評価ができなかったが、今後、共同研究等も視野に入れて、継続して研究を行いたい。
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Research Products
(6 results)