2010 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界流体分散を利用したハイブリッドナノ粒子の抽出・回収技術の開発
Project/Area Number |
21760604
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南 公隆 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (80415794)
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Keywords | 抽出 / 超臨界流体 |
Research Abstract |
当該年度では、まず流通式合成装置で連続的に本粒子を合成することを行った。高温・高圧可視化セルを用いて合成過程を観察したところ、粒子合成温度に達するまでの昇温過程が鍵となることが判明した。そこで流通式合成装置を昇温過程が存在する設計に変えたところ、これまでより高収率で本粒子が合成できた。これは、粒子合成温度(400℃)に達するまでの200℃~300℃において、修飾剤と金属イオンが反応し本粒子の前駆体が合成されたためと考える。 さらに合成装置の回収液を遠心分離により過剰の溶媒を除去することで、溶媒および未反応修飾剤で湿潤した本粒子サンプルを得た。得られたサンプルをそのまま熱乾燥した(A)と、さらにエタノールで洗浄して凍結乾燥した(B)と、超臨界二酸化炭素抽出装置で洗浄した(C)のサンプルを作成した。透過型電子顕微鏡の画像から、(A)の粒子は凝集し、(B)および(C)は凝集していないことがわかった。さらに(B)および(C)をシクロヘキサンに分散させたところ、はじめ透明な分散液になったが、2週間後(B)のみ粒子が沈降してしまっていた。このことから、本手法である超臨界二酸化炭素洗浄によって非常に分散性のある粒子が得られることが分かった。 以上の結果から当該プロジェクトで有機-無機ハイブリッドナノ粒子を連続的に合成することに成功し、さらに超臨界二酸化炭素で洗浄することで、有機溶媒中で凝集しない粒子が得られることが分かった。これは、今後のハイブリッドナノ粒子の大量合成に期待できる他、環境負荷の低い二酸化炭素を使用することで洗浄用の有機溶媒を低減した洗浄方法に大きく貢献できる結果となった。
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