2010 Fiscal Year Annual Research Report
膜工学に立脚した生体適合性マイクロカプセルの薬物放出制御と自己分解性の概念の創出
Project/Area Number |
21760605
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤松 憲樹 工学院大学, 工学部, 助教 (50451795)
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Keywords | マイクロカプセル / ミクロスフィア / 膜乳化 / SPG膜 / キトサン / 酵素 / 生分解性 / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
本年度は,SPG膜乳化法を用いたキトサンマイクロカプセルへの酵素封入手法を確立し,マイクロカプセルが自己分解する現象を創製した.昨年度,SPG膜乳化法を用いたキトサンマイクロカプセルの粒径制御および中空構造制御手法を確立したが,この手法をベースとし,あらかじめキトサンと酵素を混合してからマイクロカプセルを調製する手法により,酵素を効率よく封入できることを明らかにした.また,あらかじめ混合するキトサンと酵素の比により,マイクロカプセル内のキトサンと酵素の比を自在に制御できることを明らかにした.マイクロカプセル内では酵素は偏在しておらず,均一に分布している.さらに,昨年度確立した粒径予測モデルを発展させることで,得られる酵素封入キトサンマイクロカプセルの粒径を,フィッティングパラメーターを用いることなく予測することが可能となった.また封入された酵素の活性試験を行ったところ,活性低下はほとんど認められないことが分かった.ただし,基質のマイクロカプセル内部への拡散が律速となるケースも認められた.このようにして得られた酵素封入キトサンマイクロカプセルの分解実験を行ったところ,経時的にマイクロカプセルが分解され,カプセル形状を崩していく様子を観察することに初めて成功した.同時に,キトサンマイクロカプセル内に封入されているキトサン分解酵素も,キトサンの架橋剤によって架橋されている可能性が強く示唆される結果を得た.
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