2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760606
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 大知 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50447421)
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Keywords | 膜分離 / 機能性高分子 / ナノ構造制御 / 磁性ナノ粒子 / 感温性ポリマー / ゲート膜 / グラフト重合 / 交流磁場 |
Research Abstract |
本研究では交流磁場に応答してナノ細孔を開閉する磁場応答ゲート膜の創製と、これを用いた新規プロセス・単位操作・システムの開発を目指している。膜は多孔フィルムのナノ細孔内に、シングルナノサイズの磁性鉄(Fe_3O_4、γ-Fe_2O_3)粒子が結合した温度応答性を有するNIPAMポリマーをグラフト重合し作製する。この膜は低温ではグラフトポリマーが膨潤して細孔を満たしているために閉まっている。膜に交流磁場を印加すると、超常磁性を示す各磁性鉄ナノ粒子がNeel緩和またはBrownian緩和によって発熱し、周囲の水温を上昇させ、グラフトポリマーが収縮して、細孔中心が空洞になり細孔が開く。磁場の印加を止めると熱供給が止まって温度が下がり、膜細孔が再び閉まる。さらに印加磁場強度に応じてナノレベルで細孔径を自由に制御できる膜を目指している。 平成21年度は粒径の揃ったFe_3O_4シングルナノサイズの粒子作成を試みた。既往の研究報告(Sun,S.et al.J.Am.Chem.Soc.2002(124)8204)では、鉄源としてFe(AcAc)_3を用いて分散安定剤を含む溶液中の短時間加熱で容易に3~20nmの磁性ナノ粒子が合成でき、分散安定剤の置換により水中でも安定に分散できることが報告されている。この方法に基づき合成を行い、さらに別の既往の研究報告(Lattuada,M.et al.Langmuir 2007(23)2158)に基づき、クエン酸被覆磁性Fe_3O_4ナノ粒子の合成を試みた。しかしながら粒系制御の再現性が難しく、別の既往研究(Hyeon,T.et al.J.Am.Chem.Soc.2001(123)12798-12801)を基に、Fe(CO)_5を鉄源としたγ-Fe_2O_3シングルナノサイズの粒子作成を開始した。またNIPAMグラフト重合膜の作製を行い、グラフト鎖を切断後、GPCにその分子量分布の測定に成功し、本研究を進める上での重要な知見を得た。
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