2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760606
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 大知 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50447421)
|
Keywords | 膜分離 / 機能性高分子 / ナノ構造制御 / 磁性ナノ粒子 / 感温性ポリマー / ゲート膜 / グラフト重合 / 交流磁場 |
Research Abstract |
本研究では交流磁場に応答してナノ細孔を開閉する磁場応答ゲート膜の創製と、これを用いた新規プロセス・単位操作・システムの開発を目指した。膜は多孔フィルムのナノ細孔内に、シングルナノサイズの磁性鉄(Fe304、γ-Fe203)粒子が結合した温度応答性を有するNIPAMポリマーをグラフト重合し作製することを試みた。この膜は低温ではグラフトポリマーが膨潤して細孔を満たしているために閉まっている。膜に交流磁場を印加すると、超常磁性を示す各磁性鉄ナノ粒子がNeel緩和またはBrownian緩和によって発熱し、周囲の水温を上昇させ、グラフトポリマーが収縮して、細孔中心が空洞になり細孔が開く。磁場の印加を止めると熱供給が止まって温度が下がり、膜細孔が薄び閉まる。さらに印加磁場強度に応じてナノレベルで細孔径を自由に制御できる膜を本研究の最終コンセプトである。 当該年度は、NIPAMグラフト重合膜の作製を行い、グラフト鎖を切断後、GPCにその分子量分布の測定に成功し、本研究を進める上での重要な知見を得た。ポリカーボネイトフィルムに電子線照射をして、エッチングすることによって作製したサイクロポア膜は、ストレイトポアを有する。またポリカーボネイトは有機溶媒に溶解し、ポリカーボネイト中のエステル結合を簡単にアルカリ水溶液によって簡単に加水分解することができる。プラズマグラフト重合によってグラフト量が異なる、NIPAMグラフト重合膜の作製を行い、温度を変化させながら、圧力透過フラックスを測定した。また加水分解後のGPC測定によって、グラフトポリマーの分子量分布を測定し、その結果を比較した。この結果プラズマグラフト重合によってグラフトされたポリマーは予想よりも幅広い分子量分布を有し、これが適切な分布を持つために、ナノ細孔内でシャープな温度応答性を持つことを明らかにした。
|