2010 Fiscal Year Annual Research Report
サスペンジョンおよびエマルジョン塗布膜の乾燥挙動に関する対比的研究
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21760607
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菰田 悦之 神戸大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00397796)
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Keywords | 塗膜乾燥 / 水性樹脂塗料 / 分散・凝集 / 乾燥速度 / 移流集積 |
Research Abstract |
今年度は,エマルションの塗膜の乾燥挙動に注力して検討を実施した.エマルションは樹脂粒子が分散していることから,分散樹脂のガラス転移点Tgによってその乾燥挙動は大きく変化する.Tgが室温よりも十分に低く分散粒子が変形可能である場合,乾燥中に粒子は凝集体を形成するため,乾燥界面に集積層を作りにくいので乾燥速度は速い.さらに,塗布時に十分な剪断を印加することで,さらに乾燥速度を増加し,これは粒子の分散性向上に起因すると考えられる.一方,Tgが高く室温で分散粒子を剛体球とみなせる場合には,乾燥中の粒子凝集は見られないが,乾燥終了直前にはシリカ粒子と同様に乾燥中にクラッキングが発生した.乾燥速度は,低Tgの場合に比べて遅く,さらに,塗布時の剪断条件によって変化しなかった.従って,乾燥中に凝集しない系では塗布時の剪断印加の影響はないと言える.Tgがこれらの中間で,最低成膜温度が室温付近にある場合,乾燥初期の粒子挙動や乾燥速度はTgが高い場合と類似していたが,粒子集積層が形成されると乾燥速度が減少する挙動が見られた.これは,ゴム状にある粒子同士が接近すると変形が可能になり,緻密な集積層を形成し,間隙部からの水の蒸発が抑制されたためと考えられる.エマルションは最低成膜温度やガラス転移点Tgを指標として乾燥装置が設計されるが,Tgと乾燥雰囲の気温度差が,粒子同士の集積前および集積後の凝集特性に影響を及ぼすことが明らかになった.
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Research Products
(3 results)