2010 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースナノファイバーの化学修飾体の開発とタンパク質・ナノ粒子の高密度保持
Project/Area Number |
21760613
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大島 達也 宮崎大学, 工学部, 准教授 (00343335)
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Keywords | セルロース / ナノファイバー / 吸着 / タンパク質 / ナノ粒子 / バクテリアセルロース / 固定化金属イオンアフィニティー / イオン交換 |
Research Abstract |
本研究では微細繊維構造を有し高比表面積のセルロースナノファイバー(CNF)に各種官能基を導入した誘導体を調製し、調製した材料によるタンパク質等の生体高分子などの吸着保持特性を評価する。本年度は、以下の2つの小課題を中心に研究を進めた。 1.IMAC (Immobilized Metal Affinity Chromatography)によるタンパク質の分離濃縮 本小課題では、CNFの一種としてバクテリアセルロースにイミノ二酢酸(IDA)をキレート基として導入し、Cu(II)を吸着固定化して金属アフィニティーに基づいた生体物質の吸着挙動を評価した。Cu(II)を固定化したIDAバクテリアセルロースとIDA植物由来セルロースにおけるタンパク質の吸着挙動を比較した結果、同程度のCu(II)固定化量に対して、IDAバクテリアセルロースが2倍以上のタンパク質飽和吸着量を示した。これに対して分子量が150~1300のアミノ酸・ペプチドは吸着容量が同程度であった。 2.4級アンモニウム化バクテリアセルロースによるタンパク質の吸着 グリシジルトリメチルアンモニウムを用いて4級アンモニウム基を導入した4級アンモニウム化バクテリアセルロース(QABC)を調製し、タンパク質およびDNAの吸着特性を評価した。植物セルロースから調製した4級アンモニウム化セルロース吸着剤や市販のQAセルロースと比較して、QABCはタンパク質およびDNAに対する高い吸着容量を示した。 これらの結果は、微細繊維構造を有し高比表面積のバクテリアセルロースを担体とする吸着剤が分子量の大きい生体高分子への吸着に有利であることを示している。すなわち、生体高分子の吸着剤として、CNFが吸着担体として有効であることが本研究より示唆された。
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