2009 Fiscal Year Annual Research Report
錯体と個体を融合した光触媒材料を用いた可視光照射下での高難度選択光触媒反応
Project/Area Number |
21760628
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺村 謙太郎 Kyoto University, 次世代開拓研究ユニット, 助教 (80401131)
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Keywords | 光触媒 / 層状化合物 / ポルフィリン / 選択参加反応 |
Research Abstract |
分子状酸素を用いた選択酸化反応はベンゼンから一段階でフェノールを合成する例でもわかるように高難度選択酸化反応として知られている.分子状酸素を使った酸化反応は,(1)安価な酸化剤である空気を用いる,(2)副生成物が水のみで環境に対する負荷が少ない,(3)付加価値の高いものを得ることができるといった特徴があり,非常に魅力的な反応プロセスである.本研究において,基本骨格としてポルフィリン環を持つ化合物5,10,15,20-tetrakis(pentafluorophenyl)porphyrin iron(III)chlorideとMgOやLa203などの固体塩基を共存させると可視光照射下での分子状酸素を用いた高難度選択酸化反応が進行することを見出した.この反応は鉄ポルフィリン錯体と固体塩基が共存し,可視光を照射しないと反応が進行しない.また,光照射のonおよびoffに敏感に反応し,光照射を停止すると速やかに反応も停止することを確認した.シクロヘキセンを基質にして光酸化反応を行うと,生成物としてシクロヘキセンオキシド,2-シクロヘキセン-1-オール,2-シクロヘキセン-1-オン,シクロヘキサノール,シクロヘキサノンが生成し,シクロヘキセンオキシドの選択性が他の四つに比べて圧倒的に高かった.固体塩基について検討を行い,層状化合物であるハイドロタルサイトを用いた時,最も高い活性を示した.光照射20時間後にはシクロヘキサンの転化率が52.4%・シクロヘキサンオキシドの選択率が54.5%となり,最初に仕込んだシクロヘキサンの約4分の1がエポキシ化された.
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