2010 Fiscal Year Annual Research Report
錯体と固体を融合した光触媒材料を用いた可視光照射下での高難度選択光酸化反応
Project/Area Number |
21760628
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺村 謙太郎 京都大学, 次世代開拓研究ユニット, 助教 (80401131)
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Keywords | 光触媒 / 層状化合物 / ポルフィリン / 選択酸化反応 |
Research Abstract |
基本骨格としてポルフィリン環を持つ化合物5,10,15,20-tetrakis (pentafluorophenyl) porphyrin iron (III) chloride(以下,Fe (TPFPP) Clと表記する)と固体塩基を共存させると可視光照射下での分子状酸素を用いた高難度選択酸化反応が進行することを見出した.中でも層状化合物であるハイドロタルサイトを用いた時,最も高い活性を示した.光照射20時間後にはシクロヘキサンの転化率が52.4%・1,2-エポキシシクロヘキサンへの選択率が54.5%となり,最初に仕込んだシクロヘキサンの約4分の1がエポキシ化された.この光触媒システムを用いて,溶媒の検討を行い,クロロホルムを用いた場合に最も高いシクロヘキサンの転化率および1,2-エポキシシクロヘキサンへの選択率を示した.さらにクロロホルムに各種溶媒を混合し,シクロヘキセンの光酸化を行った.ベンゼン,クロロベンゼン,四塩化炭素を混合した場合はクロロホルムのみで反応を行った場合に比べて1,2-エポキシシクロヘキサンの生成速度が増加した.クロロホルムとベンゼンを混合する割合を検討したところ,クロロホルムにベンゼンを38mol%添加した場合に最も高いシクロヘキセンの転化率(73.7%)を示した.また,ベンゼンを28mol%添加した場合において最も高い1,2-エポキシシクロヘキサンへの選択率(44.1%)が得られた.紫外可視吸収スペクトルによる検討から,クロロホルムとベンゼンを混合した溶媒をもちいるとクロロホルムのみを溶媒として用いた場合に比べてFe (TPFPP) Clの分解速度が遅くなることが明らかとなった.つまり,Fe (TPFPP) Clの分解速度が抑制されるため,シクロヘキサンの光酸化において高い活性を示したと結論した.
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