2010 Fiscal Year Annual Research Report
PCNAをプラットフォームとするP450-電子伝達タンパク質複合体の構築
Project/Area Number |
21760633
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平川 秀彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (90451799)
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Keywords | シトクロムP450 / PCNA / ヘテロ3量化 / ボトムアップ / 電子伝達 |
Research Abstract |
細菌由来シトクロムP450(P450)は温和な条件下において立体選択的・位置選択的な酸化反応を触媒し、さらに水溶性タンパク質であるために、物質生産用酵素として極めて魅力的である。P450の活性化には電子伝達タンパク質との相互作用が必須であり、P450の触媒活性は電子伝達タンパク質濃度に大きく依存する。したがって、P450とその電子伝達タンパク質を分子レベルで近接させることにより、効率良い電子伝達、それに伴なう活性向上が期待できる。本研究では、ヘテロ3量体タンパク質である好酸性古細菌由来PCNAをこれらのタンパクを近接させる足場として利用することにより、高い触媒活性を有するP450システムを構築することを目指した。本年度は(1)PCNAとP450又は電子伝達タンパク質を連結するペプチドリンカーの最適化、(2)PCNAへの変異導入、(3)PCNAとDNAの相互作用評価、(4)本システムのタンパク質間相互作用への応用を行った。その結果、(1)PCNAと電子伝達タンパク質を連結するペプチドリンカーは剛直性を有する方がP450の触媒活性は高くなる傾向があっただけでなく、ペプチドリンカーの長さによってその触媒活性を制御することが可能であることが分かった。(2)PCNAへの変異導入によってPCNAサブユニット間の相互作用を強めることはできなかったものの、変異導入により相互作用の強さを変化させずにタンパク質の発現量を大幅に向上させることに成功した。(3)本システムを菌体内で利用するための基本情報としてPCNAと二重鎖DNAとの相互作用を評価したところ、本研究で用いたPCNAはDNA結合タンパク質にも関わらず自発的にDNAと結合することはないことが明らかになった。(4)PCNAとP450を連結するペプチドリンカーの代わりに相互作用タンパク質ペアをPCNAとP450に導入することにより、タンパク質間相互作用した時のみP450と電子伝達タンパク質に近接しP450の触媒活性が得られる系を構築したところ、10の-8乗Mオーダーでタンパク質間相互作用を検出することに成功した。
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Research Products
(5 results)