2010 Fiscal Year Annual Research Report
人工機能性分子の酵素修飾による蛋白質の細胞内および細胞膜への導入と細胞機能の改変
Project/Area Number |
21760634
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 哲志 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (80398106)
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Keywords | 酵素 / PEG脂質 / 抗体 / 癌細胞 / 樹状細胞 / 貪食 / リフォールディング / 転写因子 |
Research Abstract |
蛋白質を自由自在に細胞に導入する技術が整えば、従来の遺伝子導入法よりも直接的に細胞機能が制御でき、細胞資源の大量調製や細胞を用いた治療の効率や安全性が向上すると考えられる。しかし、生理活性を損なうこと無く蛋白質を細胞に導入して目的の場所で機能させることは、既存の技術では容易ではない。そこで、酵素反応を用いて細胞導入用合成分子を部位特異的に修飾し、目的蛋白質を失活させずに効率良く細胞に導入する方法を確立すること、を目的とした研究を行った。 本年度は、蛋白質連結酵素sortase A (SrtA)を用いて、蛋白質のC末端特異的にポリエチレングリコール(PEG)-脂質を修飾し、効率よく細胞膜に蛋白質を導入する技術を開発した。まず、緑色蛍光蛋白質(EGFP)のC末端にSrtA認識配列を付与して発現精製し、細胞膜に予め導入しておいたPEG脂質と細胞膜上でSrtAを介した連結反応を行った。その結果、子宮頸癌HeLa細胞の細胞膜上にEGFPを均一に導入することに成功した。この技術を用いて樹状細胞による癌細胞の貪食効率を向上させることを目的とし、抗体Fcドメインを細胞膜上に導入して貪食効率を評価したところ、IgG IIa型のFcドメインを導入した場合のみ、貪食効率が大きく向上した。この結果は、樹状細胞を用いたワクチン療法の効率向上につながる成果であり、現在投稿論文準備中である。 また、同様にSrtAを用いて転写因子に細胞質導入分子を修飾し、細胞内への導入を試みた。iPS細胞関連転写因子を不溶性画分に大量発現し、リフォールディングすることによって大量調製した。その際に、モデル蛋白質を用いて、イオン液体や界面活性剤、さらに有機溶媒を組み合わせてリフォールディング収率を向上させる方法を開発した。SrtAを用いてラジカル発生型蛍光色素を付けたポリアルギニンを転写因子に連結し、細胞内への導入を検討した。
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