2010 Fiscal Year Annual Research Report
構造タンパク質を用いたナノ小胞への膜タンパク質集積化技術の開発
Project/Area Number |
21760635
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
吉野 知子 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 特任准教授 (30409750)
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Keywords | 小胞 / 構造タンパク質 / 細胞 / 融合タンパク質 |
Research Abstract |
標的分子を集積したナノ小胞の利用を目指し、小胞形成能をもつ構造タンパク質の解析と形成された小胞の回収に関する研究を実施した。まず、前年度に小胞形成能が確認された構造タンパク質、Mms13に蛍光タンパク質を融合し、発現誘導システムを利用した小胞形成過程の可視化を行った。細胞内において、誘導物質(-)の状態から、誘導物質(+)の状態に変化させた過程を蛍光顕微鏡により観察した結果、極短時間の間に、ナノ小胞と思われる蛍光のドットが多数観察された。また、経時的な観察により、小胞形成は細胞内の一カ所から開始されている可能性が示唆された。次に、形成された小胞を回収するために、以下の2つの手法により目的小胞の回収を検討した。細胞を破砕した後、破砕液に対して小胞に結合する抗体を固定した磁性ビーズを導入し、磁気分離により目的の小胞回収を試みた。得られた磁性ビーズ上に存在するタンパク質群をSDS-PAGEにより確認したが、目的の融合タンパク質は確認できなかった。そこで、カベオラの精製で利用される密度勾配遠心の条件により、目的の小胞の精製・回収を試みた。細胞破砕液を密度勾配の上層部に積層し、遠心により分離を行った。各画分から得られたタンパク質層をSDS-PAGE、及びウェスタンブロットにより確認した。その結果、得られた密度勾配遠心画分の一部に融合タンパク質が確認され、小胞の精製が示唆された。本結果より、標的分子を融合したMms13タンパク質が、自発的に小胞を形成し、その小胞を細胞破砕液から精製することに成功した。
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