Research Abstract |
当該研究においては,抽出媒体としてマイルドかつ迅速に高効率で抽出が可能な超臨界流体を用い,さらにそのままオンラインで分析可能な酸化脂質のプロファイリングシステムの開発を目的としてオンラインSFE-SFC/MSシステムの構築とともに,酸化脂質メタボロミクスに有用な酸化脂質のライブラリーの構築についても取り組んだ. 本年度は,前年度から取り組んでいる生体サンプル内の酸化脂質の同定に利用可能な酸化脂質のライブラリーの構築に引き続き取り組んだ.モデルリン脂質として1,2-ジアシルグリセロ-3-ホスホコリン(PC)として2位の脂肪酸にリノール酸を含むPC(16:0/18:2PC,PLPC)に加えて,アラキドン酸を含むPC (16:0/20:4PC,PAPC),ドコサヘキサエン酸を含むPC(16:0/22:6PC,PDPC)について,2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AAPH),過酸化水素,リポキシゲナーゼを用いて酸化リン脂質をインビトロ合成し,生成した酸化リン脂質をSFC/MSにより分析した.各種の酸化物としてジヒドロキシ,エポキシ・ヒドロキシ,オキソ・エポキシといった既存のLC/MSでは分離が困難な各生成物の分析に成功し,各種酸化PCの解析が可能なSFC/MS分析系を構築した(論文投稿準備中). 次に,構築したSFC/MS分析系を用いて,各種疾患のモデル実験動物サンプルや臨床サンプルの酸化脂質について解析を行った.高脂肪・高ショ糖食マウスと野生型マウスの血漿中酸化脂質を比較解析においては,高脂肪・高ショ糖食マウスにおいて特異的に増加する酸化リン脂質の存在が認められた(論文投稿準備中).これらの酸化リン脂質は酸化ストレスに起因する各種疾患のバイオマーカーなるとして可能性を有しており,現在,さらに他の疾患サンプルにおける挙動を調べるとともに,生理学的な実験による検証を進めている.
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