2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ多能性幹細胞の誘導と生殖系列キメラニワトリ作製への応用
Project/Area Number |
21760643
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河邉 佳典 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 助教 (30448401)
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Keywords | 多能性幹細胞 / 生殖系列キメラニワトリ / トランスジェニック鳥類 / バイオリアクター / バイオ医薬品 |
Research Abstract |
これまでにニワトリなどの鳥類では未分化・多能性を維持できる特定の因子が解析できていないため、生殖系列の細胞に分化するES細胞の樹立が達成されていない。そこで、ほ乳類ES細胞およびiPS細胞樹立時に使用されている遺伝子およびタンパク質をニワトリ由来ものにすべて置き換え、特定の遺伝子を体細胞へ導入し、フィーダー環境を整えることで、ニワトリ多能性幹細胞を誘導させ、生殖系列キメラニワトリの作製ができるのではないかと考えた。 まず、ほ乳類で多能性維持を制御する転写因子および液性因子のニワトリホモログをクローニングした。次に、これら因子を組込んだレトロウイルスベクターを調製後、ニワトリ繊維芽細胞に感染させた。その結果、いずれの因手においても遺伝子導入に十分なウイルス力価を得ることができた。導入後、RT-PCR法での解析により、目的遺伝子が発現していることがわかった。また、幹細胞培養では、その培養環境が重要であることから、液性因子を発現するSTO細胞株を樹立した。樹立した細胞株を用いて、ニワトリ胚盤葉細胞を培養後、AP染色を行ったところコントロール(野生型STO細胞)と比べて未分化能が維持できていることがわかった。現在、増殖能を維持するための液性因子と組み合わせその効果を確認している。 一方、転写因子をニワトリ細胞に導入し、化合物の添加とともに樹立したSTO細胞を用いて、培養を試みた。その後、細胞の形態、レポーター(GFP+)発現およびAP染色により多能性を評価した。遺伝子導入STO細胞上に再播種してから7日ほどでGFP+コロニーを確認できたが、形状はES細胞様ではなかった。また、感染から25日目のAP染色でもその活性は確認できなかった。これらの結果から、最適な遺伝子導入STO細胞の樹立や感染細胞種とその播種密度における条件を検討することで、誘導が期待されることが示唆された。
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