2010 Fiscal Year Annual Research Report
母関数を用いた宇宙機の非線形軌道最適化問題の効率解法
Project/Area Number |
21760650
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂東 麻衣 京都大学, 宇宙総合学研究ユニット, 特定助教 (40512041)
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Keywords | 航空宇宙工学 / 制御工学 / 惑星探査 |
Research Abstract |
昨年度に行ったインパルス入力を用いたフライバイ問題(Lambert問題)の近似計算法を発展させ,連続な制御入力を加味した運動方程式に対する軌道最適化問題を扱った.Pontryaginの最大原理から,最適制御問題は,随伴ベクトルと呼ばれる新たな変数を含めた系に対するハミルトン形式として表される.このため,連続な制御入力を加味した最適制御問題はLambert問題と同様に扱うことができる.このため,昨年度構築した,母関数の構築アルゴリズムを適用し,さまざまな評価関数に対する母関数の近似解を構成した.得られた母関数が生成する最適軌道と,線形化した問題に対して得られる解析解の比較を行い,評価関数と非線形性の及ぼす影響について考察を行った.さらに,連続推力を用いる場合,非線形モデル化誤差や外乱に対するロバスト性を考慮するためにH無限大ノルムを評価指標とした母関数についても考察を行い,数値シミュレーションにより有効性を確認した.次に母関数を利用することにより,連続推力による複数対象へのランデブーの際のエネルギー消費最小化問題をシークエンス全体としての最適化問題として効率よく解く方法を提案した.近似計算の手法として,昨年度は母関数のみたすHamilton-Jacobi方程式の解法として,重みつき残差法のひとつであるガラーキン・スペクトル法を用い,チェビシェフ多項式による近似解の構成法の検討を進めてきた.本年度は,スペクトル法の一つであるコロケーション法とチェビシェフ多項式や他の直交多項式系を用いた解法についても検討を行い,計算量,精度などの面で比較を行い,より大域的な母関数を構築ツールとして有効であることを確認した.
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