2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760654
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
秋田 剛 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 情報・計算工学センター, 招聘職員(研究員) (20405343)
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Keywords | 膜のしわ / 膜面構造 / データ同化 / パラメータ同定 / 非線形有限要素法 / 宇宙機構造 |
Research Abstract |
本研究は,将来の軽量膜面宇宙構造物実現のためにデータ同化技術を用いてしわを含む膜面解析モデルの信頼性評価を行うことを目的とする.本年度は,昨年度までに開発した膜面ダイナミクスのデータ同化用解析コードの,(1)拡張・有効性検証,(2)実データを用いた有効性検証,を目標とした. (1)に関して従属する複数のパラメータを推定対象とした問題を検討し,推定パラメータの不確かさの度合いを表すシステムノイズに,推定の収束速度・収束結果・信頼区間等が強く依存することがわかった.適切なシステムノイズを設定するために,本研究では,古典的なカルマンフィルタのアダプティブ推定技術をデータ同化に適用し,パラメータごとにシステムノイズを自動で決定する方法を考案した.本方法では,推定結果の尤度関数を目的関数とした最適化問題を設定して,システムノイズ値を決定する.本方法は,適切な推定結果を得るための非常に重要な成果である. (2)では宇宙科学研究所で実施された膜面のねじり振動の試験データに対応した解析モデルを対象とした.本モデルに対して昨年度の検証の結果,データ同化時に時間発展の変位解が不安定になることを確認していたが,今年度は実データの適用に先立ち不安定性の原因を徹底究明した.その結果,対象とする系に膜面のほぼ全域がスラックして膜がめくり上がる不安定な状態が存在し,その状態に起因して,変位解が不安定になることが判明した.本問題の根本的な解決にはデータ同化の定式化からの見直しが必要となり多大な時間を要するため,今年度の膜面のねじり振動を対象とした実データ検証を中断した.代替として論文公表されている膜面の面外振動の試験モデルを検証対象とした.本モデルは膜面の多くの領域にしわが発生するが安定な系である.仮想的な振動試験データを作成し,しわが発生した膜面に対するデータ同化の有効性を確認することができた.
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