2009 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙環境模擬下における誘電体体積抵抗率計測手法の確立
Project/Area Number |
21760655
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邉 力夫 Musashi Institute of Technology, 工学部, 講師 (20308026)
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Keywords | 誘電体 / 体積抵抗率 / 人工衛星 / 帯電 / 放電 |
Research Abstract |
本研究では,宇宙機用誘電体フィルムの体積抵抗率計測に関し,宇宙環境模擬下において計測するという新たな手法(電荷蓄積法)を取り入れている.平成21年度の実施内容としては,既存の真空チャンバ,電子銃,試料表面の電位履歴を計測する表面電位計に加え,微少電流計を新たに購入し,宇宙機用誘電体フィルム(ポリイミドフィルム)に電子線を照射した際の試料を通過する微少な電流を計測した.その結果,ピコオーダーの電流履歴が計測され,その変化から誘電体内部の電荷蓄積特性および分極特性を把握することができた.また,宇宙機用誘電体フィルムは宇宙環境下で-80度から120度程度の温度変化にさらされ,これが誘電体の電荷散逸に影響を及ぼすことから,試料温度を変化させて体積抵抗率計測を行うという試みに着手した.具体的には,真空槽内に設置した試料内部にペルチェ素子を組み込み,高温・低温両方へ温度変化ができるようにした.結果として,高温側は80度までの試料昇温に成功したが,低温側は排熱システムが未装備のため,全く温度が下がらなかった.そこで,ペルチェ素子からの排熱を処理するヒートシンクや,ヒートシンクを冷却する冷却水循環装置を購入し,試験装置に組み込んだ.その結果,-20℃程度までは達成した.しかし,ペルチェ素子だけでは所望の温度低下を達成することができなかったので,液体窒素による素子冷却の試みを行つた.現在のところ適切な装置設計は未達成である.平成22年度には,温度制御手法の確立にも努めたい.
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