2010 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙環境模擬下における誘電体体積抵抗率計測手法の確立
Project/Area Number |
21760655
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Research Institution | 東京都市大学 |
Principal Investigator |
渡邉 力夫 東京都市大学, 工学部, 講師 (20308026)
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Keywords | 誘電体 / 体積抵抗 / 人工衛星 / 帯電/放電 |
Research Abstract |
宇宙機用誘電体材料を選定する際に材料特性値として参照される体積抵抗率に関し,宇宙環境を模した真空かつ電子線照射下において試料表面電位履歴を取得することにより算出する電荷蓄積法を利用して計測を行った.体積抵抗率に影響を与える各種実験パラメータ(電子線照射エネルギー,照射量,試料温度,試料湿度,試料厚さ)の影響を体系的に調べ,計測手法を確立した.照射エネルギーは試料内へ侵入する電子線の深さを決定するため試料厚さとの関係が重要であり,被照射領域における放射線誘起導電率の影響から実質的な絶縁厚さが減少することがわかり,等価絶縁厚さとして定式化を検討した.試料温度に関しては,真空槽内においてペルチェ素子を利用して試料を直接冷却・加熱するシステムを稼働させ,233K~353Kの範囲内において温度が体積抵抗率に与える影響を調べた.その結果,理論的に予測された体積抵抗率変動と同様な傾向が見られることがわかった,しかし,極低温域においては異なった傾向が観察されるとの報告もあり,今後は極低温域まで温度範囲を拡張することが課題である.また,従来法であるコンデンサ法に関しては,真空槽内において試験を実施し,大気環境下において顕著な影響を示す湿度の影響について考察した.大気環境下における実験が大気湿度の低い時期であったので,その影響は顕著には表れなかったが,大気環境における値に比べて2.5倍大きくなることがわかった,最終的には,宇宙機用材料選定のための材料パラメータデータベースへの反映を目指し計測データの統合を進めている.
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