2009 Fiscal Year Annual Research Report
水深によって傾斜角が変化するライザー管の渦励振に関する、流体構造連成解析法の開発
Project/Area Number |
21760665
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西 佳樹 Yokohama National University, 工学研究院, 准教授 (70470052)
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Keywords | ライザー管 / 後流振動子 / 流体構造連成 |
Research Abstract |
大水深域での海洋資源開発における必須技術であるライザー管の一種に、Steel Catenary Riser (SCR:鋼管を懸垂曲線状に設置するタイプ)がある。本タイプは大水深での設置に適した新しい形態ではあるが、局所的に曲率が大きくなるため、管の疲労破損に対しては強い懸念が持たれている。特に渦励振による疲労促進の評価が重要な課題であり、その解析手法の確立が最近ますます強く望まれてきている。そのような中、申請者は最近、後流振動子という理論モデルを駆使して、剛体管の渦励振にともなう流体力を、大規模な数値計算に依らずに推定できることを証明した。引き続く予備研究から、この理論はライザー管の弾性挙動の予測に十分に応用可能と推測している。そこで本研究は、流れに対して傾斜角をもつSCRの渦励振に関して、流体・構造の両面から理論的および実験的に検討を行うことで、その動的挙動を解析できる実用的なシミュレーション方法を開発する。 平成21年度は、本理論の検証をさらに進めるための実験を実施するために、剛体円柱の自由動揺実験装置の設計と製作を行った。幅の狭い2次元水槽用に作られた模型をベースとして、大型実験試験水槽に設置するための取付機構も作成した。これにより、水槽の側面影響を最小限に抑制することができた。構造部材による弾性的な復原力を模擬するためのスプリングバネの固有周波数を計測した後、円柱の自由動揺試験を行った。先行研究では、バネの固有周波数に渦放出周波数が同期するロックイン現象のみに着目した実験がほとんどであったが、本実験では、ロックイン状態への遷移状態における計測を特に綿密に行った。その結果、流体由来の周波数成分と、構造由来の周波数成分とが共存する状態(うなり状態)の存在を明確に検出することができた。この知見は、次年度(平成22年度)に実施する予定の、ライザー管の構造解析法と流体力推定法との連成解析法を作成するための貴重な知見となる。
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