2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760675
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
山口 良隆 National Maritime Research Institute, 海洋環境評価系, 主任研究員 (20344236)
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Keywords | 海洋環境 / 銅汚染 / 元素分析 / 形態分析 / 誘導結合プラズマ質量分析法 / ストリッピング・ボルタンメトリー / 重金属 / リスク評価 |
Research Abstract |
世界各地の港湾で船舶起源と考えられる銅濃度が高くなる傾向にあり、そのリスク評価が急務である。また実海域での銅の存在状態は銅イオンのみではなく非銅イオン錯体など様々な形態で存在し、生物毒性も形態で変化する。現実に即した銅の毒性及びリスク評価を行うためには、実海洋中の銅の全量と形態を明らかにする必要がある。 ストリッピング・ボルタンメトリー(SV)法で溶液中の銅形態別分析法確立を行った。はじめに0ppb、5ppb及び10ppbの硝酸銅水溶液の計測を行ったが、計測精度が悪かった。そこで溶液に酢酸緩衝溶液を入れた結果、RSD値が15%以下に収まった。また人工海水でも添加値と測定値がほぼ同じであり計測はマトリックスに依存しない。次に銅形態別分析を行うためにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加し銅イオンにマスキングを行った。まず銅イオン10ppb溶液に40ppmのEDTA溶液を0.5ml添加し、その後の計測値は半分になった。この実験により銅イオンと非銅イオン錯体の形態別の分析が可能であることが確認できた。 誘導結合プラズマ質量分析(ICP細/MS)法を用いて海水中の銅全量分析法の確立を行った。ICP/MS法で0から125ppbのCu検量線を作成した。精度を上げるために硝酸溶液と標準添加法を採用した。その結果、各計測点で5回計測時のRSD%が10%以下かつ検量線の相関係数が0.999の検量線が得られた。使用したICP/MS装置では海水成分の妨害で直接銅量が計測できないため、銅を保持する固相を用い最終的に硝酸溶液として抽出する前処理法を採用した。人工海水に10ppbの銅を添加した溶液での回収率は84.6%であった。また館山沖で採取した天然海水について銅量を計測したところ0.82ppbであった。本手法は天然海水でも適応可能である。
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