2010 Fiscal Year Annual Research Report
核融合プラズマにおける協同散乱計測の為の大電力サブテラヘルツ帯ジャイロトロン開発
Project/Area Number |
21760689
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
野竹 孝志 独立行政法人理化学研究所, テラヘルツ光源研究チーム, 特別研究員 (70413995)
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Keywords | テラヘルツ光源 / 協同散乱 |
Research Abstract |
核融合プラズマの協同散乱計測を行うためには、従来の周波数100GHz近傍の加熱用ジャイロトロンや、28THzの炭酸ガスレーザー等では、ビームの屈折やカットオフ、散乱角領域が限られる等の様々な問題が生じる。サブテラヘルツ帯の高出力単色コヒーレント光源を開発すれば、これらの問題を全て克服することが可能となり、核融合反応により生成されるアルファ粒子の動的挙動を解明する上で、極めて重要なツールとなる。本研究においてTE65モードを最適モードとする共振器を設計し、高出力電子銃と組合せることでジャイロトロン管を製作した。パルス幅は電源容量の問題から、数マイクロ秒程度とした。発振物理特性を調べるために動作試験を行い、周波数約0.35THzで52kW(TE65モード動作),約0.4THzで37kW(TE85モード動作)の発振を達成した。しかし,高カソード電圧運転時に電子銃が沿面放電を起こし,実効的に電子ビーム加速電圧が低下してしまうという技術的な問題も生じた。また高ビーム電流運転時には動作モードであるTE65及びTE85が基本波と競合し発振効率が低下する等の物理的問題も生じた。これらの問題を解決してさらなる高出力発振を目指すため、最適共振器モードの設計変更や、モード競合計算等を行い、また、真空度を向上させ電子ビームの高品質化を目指す為に新たな封じ切り管の試作を行った。その結果、TE18モードで周波数約0.4THzにおいて、62kWの発振を達成した。今回の試験ではビーム電流増加に伴う発振効率低下などは観測されず、今後は更に電子銃の改良や、電源の増設などを行うことで、更なる高出力化が可能になると考えられる。
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