2009 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉金属再堆積層における水素同位体挙動に関する研究
Project/Area Number |
21760691
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片山 一成 Kyushu University, 総合理工学研究院, 助教 (90380708)
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Keywords | 再堆積 / トリチウム / スパッタリング |
Research Abstract |
核融合炉プラズマ容器内での水素同位体の挙動把握は、プラズマ制御、トリチウム安全管理の観点のみならず、燃料サイクルの成立性に関わる重要な課題である。本研究では、プラズマ-壁相互作用により形成される金属堆積層形成に伴う水素同位体挙動の解明を目的する。 水素同位体RFプラズマを用いたスパッタ法によりタングステン再堆積層を作成し、密度評価、元素分析及び水素脱離挙動観測を行った。その結果、不純物酸素を多く含む堆積層の密度はバルクタングステンの35%程度、不純物酸素が検出限界以下の堆積層でも70%程度と多くの空隙を持つことがわかった。また、酸素を多く含む堆積層ほど、堆積過程で層内に捕捉される水素同位体量が多い傾向があることもわかった。このことから、水素同位体は金属堆積層中に形成される粒界やポアに捕捉され、このような空隙の増加に伴って水素同位体捕捉容量が増加していると言える。堆積過程での不純物酸素の取り込みが空隙増加引いては水素同位体捕捉量増加に強く寄与していることが明らかとなった。 金属再堆積層における水素同位体交換現象を確認するため、軽水素プラズマで作成したタングステン再堆積層及び白金再堆積層を重水素ガスに曝露した後、各再堆積層からの水素同位体脱離挙動を観測した。その結果、堆積過程で取り込まれた軽水素と気相中の重水素が置換し得ることが明らかとなった。なお、タングステンに比べ白金の方が置換速度が速いことから堆積層表面での重水素の解離が反応を律速していると考えられる。この結果から、プラズマ中の水素同位体比に応じて堆積層中の水素同位体比も変化し得ることが示唆される。
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Research Products
(4 results)