2009 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ対向材料中に存在し得る各種格子欠陥における水素同位体捕獲機構の解明
Project/Area Number |
21760692
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
岩切 宏友 University of the Ryukyus, 教育学部, 准教授 (80325480)
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Keywords | 水素同位体 / ヘリウム / 格子欠陥 / イオンビーム照射 / 分子動力学法 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
核融合炉環境下で材料中に入射してくるヘリウムはヘリウムバブルに代表れるようよな各種欠陥を形成し、水素同位体の保持・放出特性などに大きな影響を与えることが知られている。そこで,本年度はヘリウムバブル形成メカニズムについて、計算機シミュレーションを用いた解析を行った。まず,第一原理計算によりHe-He間ならびにW-He間における原子間ポテンシャルの作成を行った。その結果,いかなる原子間距離にあっても,He-He間のポテンシャルエネルギーはW-He間のポテンシャルエネルギーよりも小さかった。これは,He原子が周囲をW原子で囲まれるよりは,He原子で囲まれた方が系の内部エネルギーが小さくなることを示している。すなわち,He原子は,W格子内でばらばらに存在するよりも,集合化した方が内部エネルギー的に有利であるということになる。次に本研究で作成した原子間ポテンシャルとGEAMO4ポテンシャルを用いて,タングステン中における原子空孔とヘリウム原子との相互作用についてのモデル計算を行った。その結果,0Kの場合は1つの原子空孔に対して,最近接が1.8A~1.9Aとなる状態で6個のヘリウムが捕獲され,それ以上の数のヘリウムは空孔の外に押し出された。300Kの場合,原子空孔中央付近に3個のヘリウムが配置し,その周囲の格子がひずんだ部分に2個のヘリウムが捕獲されている状態となった。残り1個のヘリウムは原子空孔から完全に離脱した。500Kで同様の計算を行ったところ,原子空孔中心部に1個のヘリウムが捕獲され,残り5個のヘリウムは完全に格子外に飛び出していた。精度と汎用性の高いヘリウムバブル成長モデルを構築するためには本研究で得られたような複雑な捕獲状態を考慮する必要があると考えられる。
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Research Products
(4 results)