2010 Fiscal Year Annual Research Report
高圧力プラズマにおける抵抗性壁モード安定化物理の実験解析研究
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21760702
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
松永 剛 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究職 (10391260)
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Keywords | 炉心プラズマ / プラズマ物理 / 抵抗性壁モード / 高エネルギーイオン |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、高圧力プラズマで発生し、到達圧力を制限する抵抗性壁モード(RWM)について、その安定化機構や他の不安定性との相互作用等に着眼し実験データの解析を進めた。今年度は、主にJT-60U(独立行政法人日本原子力研究開発機構)とDIII-D(GA社)における実験データの比較を行った。両装置の高圧力プラズマでは、高エネルギーイオンのトロイダル歳差運動が駆動源と考えられEWMと名付けられた新たな不安定が発生し、十分なプラズマ回転にも関わらずRWMを不安定化する。この現象の主な装置間の相違点として、JT-60UではEWMが周辺で発生する周辺局在化モード(ELM)を誘発すること、DIII-DではEWMによる中性子損失が顕著であり、またプラズマ回転が失われることがあげられる。JT-60UにおけるEWMによるELM誘発は、新たなMHD不安定性の相互作用であり、ELMの発生頻度が高まる一方、ELMによるエネルギー損失が減ることからELM緩和となっている。この結果は、Nuclear Fusion誌に掲載されるとともに、第23回IAEA核融合エネルギー会議で口頭発表された。また、DIII-Dでの結果は、高エネルギーイオンの損失とプラズマ回転の減少がRWMの安定化を損なわせることを示唆している。プラズマを構成する粒子の運動論的効果を考慮したMHD安定性解析コード(MARS-K)によると、高エネルギーイオンがRWMの安定化に寄与していることが明らかになり、EWMによる高エネルギーイオンの損失がRWMを誘発しえることが明らかになった。これらの比較の結果は、PHYSICS OF PLASMAS誌に掲載されるとともに、第52回米物理学会プラズマ物理会合で招待講演として発表された。
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