2010 Fiscal Year Annual Research Report
NMRを利用した高温・高圧ベントナイト間隙における水および核種のミクロ挙動解析
Project/Area Number |
21760706
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
塚原 剛彦 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教 (10401126)
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Keywords | NMR / ベントナイト / 水 / ナノ空間 / 緩和 |
Research Abstract |
本研究では、NMR技術を用いて、高温・高圧・極端pH環境下における粘土間隙の水や核種のミクロ物性を"in situ"計測し、核種移行挙動のメカニズムを解明することを目的としている。マイクロ・ナノ間隙水のダイナミクス解析を行うため、ジルコニア製の高圧NMRセル内に、水分量を調整したシリカビーズあるいは粘土を充填し、これら細孔内の水を、低磁場NMR(23MHz)により計測できるシステムを構築した。これを用いて、細孔内の水のスピン-格子緩和時間(T_1)、スピン-スピン緩和時間(T_2)および拡散係数(D)を調べた。緩和時間T_1,T_2およびD値は、いずれも水分量の減少と共に減少し、水分子の運動状態が抑制されていることが分かった。同様の傾向は、細孔径を小さくしても観測された。水分量あるいは細孔径の減少によって、ビーズや粘土といった固体表面に吸着した水の効果が強く表れるため、緩和時間や拡散係数が小さくなったと考えられる。実際に、得られたT_1値を逆ラプラス変換することで、時間平均の緩和時間分布関数を導出したところ、水分子は1成分では無く、表面吸着水とバルク水の2成分の状態を持っていることが明らかとなった。また、シリンジポンプを用いて圧力を~30MPaまで印加し、T_1値の圧力依存性を調べた。その結果、圧力増加に伴ってT_1値は僅かに減少し、圧力により水分子の運動状態がさらに抑制されることを示唆する結果を得た。さらに、これら細孔内へのイオン添加効果について検討するため、イオンを計測しうるNMRプローブを試作した。
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