2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760709
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大久保 猛 Japan Atomic Energy Agency, 高崎量子応用研究所・放射線高度利用施設部, 研究職 (40446456)
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Keywords | 加速器 / 量子ビーム / イオンビーム / ナノビーム / 加速レンズ |
Research Abstract |
ガスイオンナノビームはナノテクへの応用が切望されているが普及には装置の小型化が不可欠である。研究の全体構想は、ビームの加速・集束を同時に行う加速レンズ系で大きな縮小率を達成し、その後段に配置する加速管との一体型加速集束レンズ系とすることによりビーム径10mのMeV級小型装置を開発することであるが、この場合、加速管で生じる収差がビーム径の縮小を妨げる。 平成21年度は、後段の加速管で生じる収差を前段の加速レンズ系で負の収差を制御することによって打ち消すことができる条件をイオン光学シミュレーションによって追究した。まず、効率的に条件追究を進めるべく計算時間の短縮のため、計算コードを本研究で開発している加速レンズ系に最適化した。加速レンズ系は円柱対称系であること、イオンが中心軸の近傍を進行すること、磁場が存在しないこと、以上の3点を考慮することによって、計算コードの簡略化と計算時間の短縮化に成功した。次に、その計算コードを用いて負の収差による全体系の収差の打ち消し条件を追究した結果、加速レンズ系出口で形成される46keV水素分子イオンビームに対して新たに付加する減速電圧が15kVの時に、負の収差によって加速レンズ系の収差が最大26%低減し、ビーム径を最大17%縮小できることがわかった。 以上の成果により、加速レンズ系と加速管との一体型装置において、減速電圧による負の収差を制御することによって収差が打ち消され、ビーム径をより小さく集束できる見通しが得られた。
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