2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21760709
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大久保 猛 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 放射線高度利用施設部, 研究職 (40446456)
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Keywords | 加速器 / 量子ビーム / イオンビーム / ナノビーム / 加速レンズ |
Research Abstract |
ガスイオンナノビームはナノテクへの応用が切望されているが普及には装置の小型化が不可欠である。研究の全体構想は、ビームの加速・集束を同時に行う加速レンズ系で大きな縮小率を達成し、その後段に配置する加速管との一体型加速集束レンズ系とすることによりビーム径10nmのMeV級小型装置を開発することであるが、この場合、加速管で生じる収差がビーム径の縮小を妨げる。 平成22年度は、前年度に行ったイオン光学シミュレーションによって得られた成果である収差の制御によるビーム径の縮小化の見通しを実験によって実証するべく、新たな加速レンズ実験体系の構築に努めた。収差制御を行う第二加速レンズには減速電圧印加用に新たな電極を配置した。また、後段に配置する加速管に印加する電圧として300kVを想定しているが、電圧勾配が非常に大きいために放電が頻繁に発生することがわかった。そこで、加速管を含む加速レンズ系および周辺環境の放電対策に努めた。現在、220kV程度までの安定的な電圧印加に成功しており、次年度もさらなる放電対策を進めていく必要がある。なお、加速レンズ系の収差を制御するために用いる高電圧高安定電源を本研究費で購入した。 イオン光学シミュレーションによって得られた収差制御によるビーム径縮小化に関する成果について、国際会議CAARI2010で口頭発表を行った。また、本会議に提出した論文は査読され既にアクセプトされている。
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