2009 Fiscal Year Annual Research Report
ダイレクトバイオマスガス化ガス燃料電池の内部改質反応・炭素析出に関する研究
Project/Area Number |
21760719
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
波岡 知昭 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (90376955)
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Keywords | 固体酸化物型燃料電池 / バイオマスガス化 / タール / 電極劣化 / 炭素析出 / Metal dusting / Ni / ScSZ / 高効率発電 |
Research Abstract |
バイオマスガス化プロセスと固体酸化物型燃料電池を組み合わせるシステムは、バイオマスを燃料とする発電方式の中で理論的に最も高い効率を発揮することが期待される。しかし、本システム実用化の際には、ガス化プロセスで生成した燃料ガス中に含まれる不純物が燃料電池燃料極を劣化させる可能性がある。本研究では、燃料ガス中に微量含まれるタールに起因する電極劣化挙動を評価するため、バイオマスタール模擬物質としてトルエンを選び、それらの供給濃度や電池運転条件が電極劣化に及ぼす影響を明らかにし、さらにバイオマスガス化ガス中へのタールの許容濃度を明らかにすることを目的としている。 本年度は、運転条件や材料、電極作成条件が電極劣化に及ぼす影響を検討することを予定していたが、そもそもタールを混入させた際の電極の「劣化」には、様々の定義があり、統一した見解がないことがわかった。また、固体酸化物としてScSZを用いた場合とその他の材料を用いた場合で、その劣化挙動が異なる可能性があることがわかった。その為、操作パラメータの影響を評価する前に、固体酸化物としてScSZを用いた際の電極劣化の定義および機構解明を行うこととした。電極劣化には通常報告されている炭素析出やマクロな電極構造の破壊によるもののほか、metal dustingによるNi粒子の選択的消失による劣化機構もあり、ScSZの場合、見かけ上、炭素析出やマクロな電極構造の破壊による劣化の前段階にmetal dustingによる劣化が生じていることがわかった。すなわち、電極上でmetal dustingに起因するミクロ構造の変化がみられた場合を電極の劣化と定義することが妥当だと考えられた。また、電極劣化の遠隔診断として電圧の経時変化を測定する手法は簡便で有益な方法であるが、電極構造の変化と電圧挙動との間にはある規則性があることがわかった。
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Research Products
(2 results)