2010 Fiscal Year Annual Research Report
ダイレクトバイオマスガス化ガス燃料電池の内部改質反応・炭素析出に関する研究
Project/Area Number |
21760719
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
波岡 知昭 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (90376955)
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Keywords | バイオマスガス化燃料電池発電 / タール / 電極劣化 / スカンジア安定化ジルコニア / Metal-dusting corrosion |
Research Abstract |
カーボンニュートラルな特性を持つ木質系バイオマス資源をガス状燃料に変換し、それを高効率発電が可能な高温型燃料電池と組み合わせる「バイオマスガス化複合発電システム」は、現在想定しうる発電方式の中で最も高いCO_2排出量削減効果の期待できる次世代発電方式の一つと考えられる。このシステムの実用化時に問題となるバイオマスガス化ガス中タールによる、固体酸化物型燃料電池燃料極の劣化挙動について検討を行った。 一般的に、燃料ガスに炭化水素を用いた場合の劣化として、炭素析出・電極破壊現象が知られている。しかし、今回、詳細な検討を行うことにより、それらが生じるタール濃度よりも低いタール濃度領域において、Metal-dusting corrosionに由来すると思われるNiの選択的消失現象(不可逆的劣化)が生じることが明らかとなった。それゆえ、Niの選択的消失現象の発現を電極劣化の定義とすべきことを提案した。また、上記の定義を元に、燃料中タール濃度、タール種、燃料電池運転条件が電極劣化に及ぼす影響を調べた。 燃料電池運転温度、1073Kの時には、今回行ったタール濃度条件ではすべての条件で劣化が観察された。一方、温度1173K,水蒸気比1、電流密度:0.5A/cm^2の時、タール濃度3g/Nm^3まで劣化が観察されなかった。運転温度の増加は、炭化水素の水蒸気改質反応速度を増加させるために、タール由来の劣化が抑制されたものと考えられる。一方、水蒸気比の増加は必ずしも劣化を抑制するわけではないこともわかった。 今回行った実験条件の範囲内では、運転温度1173Kの時のNi/ScSZ燃料極に対するタールの許容濃度は、一般に知られている内燃機関に対するタール許容濃度の約300倍で、バイオマスガス化発電システムへの燃料電池の適用は、効率向上面だけでなく、タール精製装置の簡素化・システムの簡素化に伴うコストダウンにも寄与する可能性があることがわかった。
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Research Products
(5 results)