2009 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を利用した熱化学法ISプロセス水素製造システムの熱効率向上に関する研究
Project/Area Number |
21760722
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大橋 弘史 Japan Atomic Energy Agency, 原子力水素・熱利用研究センター, 研究員 (60370368)
|
Keywords | エネルギー効率化 / 化学工学 / 水素 / 二酸化炭素排出削減 / 反応・分離工学 |
Research Abstract |
本研究は、熱化学法ISプロセスの熱効率向上における課題「ブンゼン反応(水、ヨウ素及び二酸化硫黄からヨウ化水素酸と硫酸を得る反応)の生成物からの効率的なヨウ化水素分離」を解決するため、イオン液体を利用して反応溶液中の原料ヨウ素の濃度を増加させることによって反応を促進し、ヨウ化水素濃度が高い生成物を得ることが目的である。本年度は、イオン液体のブンゼン反応に関連する物性データ取得を行った。 先ず、ヨウ素イオンから構成されるイオン液体6種類を候補として、ヨウ素の溶解性を評価した。ここで、通常のブンゼン反応溶液中におけるヨウ素濃度は、ヨウ化水素に対するヨウ素溶解度に依存するため、この溶解度が一つの指標となる。試験の結果、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヨージド(C_6H_<11>N_2)、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムヨージド(C_7H_<13>IN_2)及び1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヨージド(C_8H_<15>IN_2)の3種類がヨウ素を溶解でき、物質量あたりのヨウ素溶解度はヨウ化水素と比較して、各々、2.2倍、2.3倍及び2.4倍であり、これらのイオン液体の利用によって、反応溶液中のヨウ素濃度を増加できることを明らかにした。また、上記3種類のイオン液体において、硫酸との混合溶液中におけるヨウ素溶解度はイオン液体単体とほぼ同等であり、ヨウ素溶解性の観点から反応生成物である硫酸に対しての耐性を有していることが確認できた。さらに、反応生成物の液液相分離特性を把握するため、反応生成物濃度に相当するヨウ化水素酸及び硫酸にヨウ素及びイオン液体を混合・静置した。この結果、通常のブンゼン反応の生成物が硫酸相とヨウ化水素酸相の2液相に分離するのに対して、新たにイオン液体相が加わった3液相に分離することが確認でき、反応後のイオン液体の分離回収の観点から有利な特性を有していることを明らかにした。
|