2010 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を利用した熱化学法ISプロセス水素製造システムの熱効率向上に関する研究
Project/Area Number |
21760722
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大橋 弘史 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力水素・熱利用研究センター, 研究副主幹 (60370368)
|
Keywords | エネルギー効率化 / 化学工学 / 水素 / 二酸化炭素排出削減 / 反応・分離工学 |
Research Abstract |
本研究は、熱化学法ISプロセスの熱効率向上における課題「ブンゼン反応(水、ヨウ素及び二酸化硫黄からヨウ化水素酸と硫酸を得る反応)の生成物からの効率的なヨウ化水素分離」を解決するため、イオン液体を利用して反応溶液中の原料ヨウ素の濃度を増加させることによって反応を促進し、ヨウ化水素濃度が高い生成物を得ることが目的である。 ヨウ素イオンを含むイオン液体の利用により反応溶液中のヨウ素濃度を増加させることができる。本年度は、昨年度の試験結果から、単位物質量あたりのヨウ素溶解度が最も高かった1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヨージド(C_8H_<15>IN_2)を用いて、ブンゼン反応試験を実施した。反応実験に先立ち、分析すべき反応生成物中に新たにイオン液体が含まれるため、分析手法の確立を行った。従来の分析では滴定法によって、H+イオン及びI-イオンを定量し、これらの差を硫酸とし、残りのH+イオンをヨウ化水素としている。今回、イオン液体起源のI-イオンが新たに含まれるため、従来の滴定法に加えて、炭酸バリウムを用いて硫酸バリウム沈殿を生成させ、重量測定により硫酸を定量することにより、ヨウ化水素、硫酸、イオン液体を定量した。反応試験において、水、ヨウ素及びイオン液体(モル比1:1:0.24)を混合した原料に対して、二酸化硫黄ガス(総供給量モル比1)を供給しブンゼン反応を行った結果、反応生成物は液液相分離し、重液相におけるヨウ化水素濃度は、同条件下でイオン液体を用いない通常のブンゼン反応における57wt%を上回る60wt%が得られ、ブンゼン反応が促進していることが確認できた。
|