2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶川 正樹 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 講師 (90361766)
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Keywords | 転移因子 / レトロポゾン |
Research Abstract |
2001年、ヒトゲノムの概要配列が解読され、とりわけ我々に大きな衝撃を与えた発見は、ヒトゲノムDNAの約半分もの領域が転移因子で構成されているという事実であった。なかでも、Long INterspersed Element (LINE)と呼ばれる転移因子は、ヒトのゲノムDNA中に約90万と膨大なコピー数で存在している(ゲノム全体の約20%を占める)。LINE配列は、真核生物ゲノムの大きな構成要素であるとともに、真核生物のゲノム進化に深くかかわってきたことが示されている。しかし、LINEがいかにしてこのように莫大なコピー数を獲得することができたのか、その転移・増幅機構にはいまだ数多くの謎が残されている。私は、このLINEの転移・増幅機構の解明を研究目的とした。平成21年度は、LINE転移に関与する宿主タンパク質の同定・機能解明を目指し、LINE転移中間体(LINEタンパク質-RNA複合体)の精製を行った。その後、この転移中間体の解析を行い、LINE転移中間体が分子量40MDaを超える巨大複合体であり複数の宿主タンパク質を含むことを明らかにした。さらに、これらの転移中間体に含まれる宿主タンパク質は、LINE RNAを介して転移中間体と相互作用することを示した。その後、質量分析を行い、予備的なデータではあるが、現在、LINE転移中間体と相互作用するであろう宿主タンパク質の候補を得ている。平成22年度は、さらに質量分析を進めLINE転移中間体に含まれる宿主タンパク質を同定し、それら宿主タンパク質のLINE転移における機能を解析する計画である。
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