2010 Fiscal Year Annual Research Report
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21770002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶川 正樹 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 講師 (90361766)
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Keywords | 転移因子 / レトロポゾン |
Research Abstract |
転移因子は、ヒトゲノムに多量に存在し、その約半分の領域を占めている。転移因子は、宿主生物のゲノム中に存在し何ら機能を持たない利己的なDNA因子であると考えられてきたが、近年の研究により、宿主生物のゲノム進化に深く関与していることが明らかにされている。本研究は、転移因子LINEの転移増幅メカニズムを解明することを目的とした。LINEの転移にはLINEのコードするタンパク質が関与しており、その機能はほぼ解明されている。しかし、LINE転移は、LINEのコードするタンパク質のみでは完了できず、宿主のコードするタンパク質が関与すると考えられている。しかし、宿主タンパク質の関与に関してはほとんど研究がなされていない。本研究では、平成21年度、質量分析により、LINEの転移・増幅に関与する可能性のあるLINE転移中間体に含まれる5種類の宿主タンパク質の単離に成功していた。平成22年度は、これらの宿主タンパク質がLINE RNAと結合することでHNE転移中間体に含まれることを明らかにした。また、これら5種類のタンパク質以外にも、LINEタンパク質と直接的に相互作用し、LINE転移中間体に含まれる宿主タンパク質が存在することを明らかにした。現在、これらのタンパク質についても質量分析による解析を進めているところである。更には、これらの宿主タンパク質が、LINE転移においてどのような機能を担っているのか、培養細胞を用いた転移実験において解析中である。本研究による宿主タンパク質の同定は、今後のLINEの転移メカニズムの全容解明に向けて有用な知見をもたらすものである。
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