2012 Fiscal Year Annual Research Report
生態系の持続可能性と制度や規範について:所有形態や制裁の効果を焦点に
Project/Area Number |
21770016
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中丸 麻由子 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (70324332)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | コモンズの維持管理 / 持続可能性 / 数理モデル / シミュレーション / 制度 / 人間活動 |
Research Abstract |
(1)理論研究: グループでコモンズを維持/利用する場合では誰とグループを形成するのかが要である。メンバー選別の判断基準が慣習維持やコモンズの持続的可能な利用にどの程度影響を及ぼすのか進化シミュレーションを用いて検討し、研究結果をまとめ、学会で発表を行った。 生態系利用では、だれがどの時期にどのようにしてコモンズである生態系を維持し、誰がいつどのようにしてそれを利用していくのかが問題となる。しかし数理モデル研究では、公共財ゲームのように全員で維持して全員で利用していくという仮定が用いられている事が多い。そこでコモンズを順番に利用するルール(Koike et al.(2010))があるときに、実際の人はどのように振る舞うのかについて、被験者を用いた実験を行った。結果もおおよそまとまりつつある。 公共財ゲーム上でのフリーライダーへの制裁を実行する上での意思決定に関する研究については国際雑誌PloS Oneへ論文を投稿し、H24年度中に受理、出版された。 (2)実証例に基づいたモデル研究:東南アジアのアナツバメの管理と巣の所有、採取ルールについて:既に、シンプルなアナツバメの個体群動態モデルを構築している。基本モデルの数理モデルを解析を進めた。 (3)実証例の探索:日本国内での、この研究テーマに即した実証例を、実際に現場に出向いて探索した。佐渡島の岩首地域の棚田が対象になる可能性があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論研究は順調に進んでいる。また、日本国内において新たな研究対象場所を見つけつつあり、研究が新たな発展をする可能性が高い。そういう意味では順調に進んでいる。しかし、アナツバメの管理と個体群動態のモデル研究の数理モデルそのものは出来ているのにも関わらず解析が進んでいない。来年度に進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)理論研究: 生態系利用では、だれがどの時期にどのようにしてコモンズである生態系を維持し、誰がいつどのようにしてそれを利用していくのかが問題となる。しかし数理モデル研究では、公共財ゲームのように全員で維持して全員で利用していくという仮定が用いられている事が多い。そこでコモンズを順番に利用するルール(Koike et al.(2010))があるときに、実際の人はどのように振る舞うのかについて、被験者を用いた実験を行った。結果もおおよそまとまりつつあるので、今後は追試を行い、論文化を行う。また、様々な利用に関する数理モデルを構築する予定である。 (2)実証例に基づいたモデル研究: 東南アジアのアナツバメの管理と巣の所有、採取ルールについて:既に、シンプルなアナツバメの個体群動態モデルを構築し、徐々に解析も進めている。数理モデルを解析をさらにすすめ、論文投稿をしたい。 (3)実証例の探索: 佐渡島の岩首地域の棚田を研究対象になるのかどうかを検討する。そして可能であれば、棚田の保全と維持管理についてのシミュレーションを構築し、所有形態と維持管理の関係を探りたい。
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Research Products
(11 results)